『コロナ禍でボーナスカットだから辞めたいのではない』女子医大労働組合が声明

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大学経営陣の度重なる一方的な経営姿勢に失望と訴え

「夏のボーナスカット」を理由に、看護師約400名が離職を希望していると報道されている東京女子医大の現状について、労働組合がマスコミにも抗議するかたちで真相を訴える声明を出した。それによると離職を希望している理由は、コロナ禍による経営悪化でボーナスカットされそうだからではなく、ここ数年にわたる経営側の「教職員を大事にしない姿勢」に失望したからだという。

 

「事実も趣旨も異なる内容、非常に残念」

今回声明を発表したのは、東京女子医大の教職員でつくる「東京女子医大労働組合」。労働組合法の基準を満たし、経営側と団体交渉が行える唯一の労働組合だ。

声明によると、連日報道されている「夏のボーナスカットで看護師400人が離職希望」というのは事実も趣旨も異なるという。事実としては「看護師の退職希望者の予想数が400名を超えると聞いているがその真偽はどうなのかと、当局に対して事実確認を行なった」までであり、組合として発信した内容ではないとする。さらに今回のボーナスカットは、コロナ禍の影響による病院収支の悪化に起因する単純なものではなく、ここ数年の幾度にもわたる経営側の「傲慢かつ一方的な経営、説明、対応、そして忖度人事」にあるという。

 

「今回の対応はまさにだめ押し。堪忍袋の尾が切れた」

組合は声明の中で、経営側のここ数年の対応について具体的に説明。2014年に発生した医療事故※と特定機能病院の認定取り消し以降、5年間で一時金を40%近くも大幅に削減し、さらに2018年と2019年は、2年連続の就業規則・給与表にも無い「定期昇給の50%削減」を押し付け、私立医科大学の中でも極めて例のない「大掛かりな人件費削減」が行われてきたと訴えた。今回のボーナスカットの動きは、その一連の対応のまさにだめ押しであり「その対応にはさすがに労働組合だけでなく、多くの教職員も堪忍袋の尾が切れ」たわけで、当然の帰結だと批判する。

その上で、女子医大に働く看護師をはじめとする教職員は、単に『夏期一時金ゼロ』が理由で退職を希望しているのではなく、大学理事会の「教職員を大事にしない姿勢」に失望し、働き続けていく展望を見いだせなくなったことが原因であると糾弾した。そしてさらに「何よりも事の本質を理解しないままの過剰な報道は、現場で働いている教職員に誹謗中傷等や、その他大きな影響を及ぼしかねない」とマスコミに対しても懸念を表明している。

 

※2014年の医療事故について
2014年2月、頸部リンパ管腫の摘出手術を受けた男児が、添付文書で集中治療中の使用は禁忌とされていた麻酔剤のプロポフォールを、小児にも関わらず成人でも過剰とされる2.7倍もの量を投与され、急性循環不全で死亡した。投与に対する事前説明はなく、必要とされる家族同意書も得られていなかった。発覚後、警察が業務上過失致死で捜査した結果、この件だけでなく、過去5年間にわたり、プロポフォールを14歳未満の55人に63回ほど投与しており、過量投与が常態化していたことが明らかになった。この件により2015年、厚生労働省は病院の「特定機能病院」指定を取り消した。また日本私立学校振興・共済事業団も同時期に「経営に問題がある」として補助金を4億減額している。

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