風疹の流行は国民全員が当事者です

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風疹の流行が広がっている、という報道が相次いでいます。
妊娠初期に母体が風疹に罹患すると、胎児が高い確率で先天性風疹症候群を発症します。

【国立感染症研究所 先天性風疹症候群とは】

風疹を予防しよう、というのはそういう理由なのです。
成人男性も風疹(or麻疹風疹、MR)ワクチンを打ちましょう、という報道が多いですね。

では報道やメディアで言われている、接種すべき「30~50歳代の男性」は日本に何人いるかご存知ですか?
30歳代~50歳代は5歳ごとに概ね400万人、つまり30~50歳代の男性は約2400万人いるわけです。
【国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口 平成29年推計】

「30~50歳代の男性も接種すべき」は私も常々思っていて、完全に同意します。

では「2400万人に打つ」のは「可及的」対策の戦術としていかがでしょうか。

戦術を見直してみましょう。
先天性風疹症候群児は妊婦が風疹に罹患すると産まれます。
では、なぜ感染するんでしょう?
それは「妊婦に風疹抗体が足りない人がいるから」ですよね。
それを踏まえて「今すぐ」できる「可及的」対策として何が考えられるでしょうか。

あなたは本当に風疹(or麻疹風疹)ワクチンを接種しましたか?
接種歴を確認しましょう。保護者、両親に確認しましょう。
接種していなかった、という方は当然ですが、接種したか否かわからないという方も接種して結構です。
ウイルス抗体価は調べなくても構いません。
【神奈川県風しん撲滅作戦
ページ下部の年代別に見る風疹予防接種制度の変遷を参照】

視点を変えて人口動態統計から対策を考えてみましょう。
2017年の出生数は約95万人(=母体数と仮定)ですが、そのうち8割は25~39歳で出産なさっています。
【厚労省 母の年齢 PDFファイル】

28歳未満の約33万人は、すでに風疹(or麻疹風疹)ワクチンを2回接種しているはずなので確実に接種しているならこれ以上は不要です。
一方で、29歳以上39歳の約55万人は1回接種です。
この層の約55万人の方々をターゲットとして定め、確実に守るのが先決と考えております。

これらを鑑みて、以下3つすべてに当てはまる方はMRワクチンの接種をすぐに受けて頂きたいです。

  • 近々妊娠出産希望の女性
  • 29歳以上39歳
  • 1回接種or接種歴不明
  • 同様に接種を受けるべき方。
    29歳未満or40歳以上かつ近々妊娠出産希望かつ接種歴不明
    妊娠希望の女性や妊婦と同居する男性(夫、祖父等)

どこかで見たことありませんか?
これらは各市町村で行われている風疹対策と似通っていますよね。
つまりすでに戦略レベルで「常時」警戒公告がなされているんです。
「今一度、自分が当てはまるかチェックする」それが今すぐできる可及的対策です。

なお以下にもご留意ください。

  • MRワクチン接種後、2か月は避妊すること(図らず妊娠しても堕胎不要)
  • 明らかに抗体価が高い(HI32倍以上、EIA8以上)人は接種不要(打っても問題はない)
  • ご存知の通り30~50歳代の男性も接種すべき。

最後に繰り返しますが「風疹の流行は国民全員が当事者」と言うことを忘れないでください。
国や自治体や企業がどうすべきか、を論じるのと同時に「今すぐ自分が何をできるか」を実感していただきたいのです。


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山内病院付属藤沢スマートタウンクリニック 小児科部長
日本小児科学会 小児科専門医
「正しい医療情報のための連携会」Facebookグループ会長

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