佐々木淳 スペシャル

【上海徇行記2019②】当事者の言葉、国を越える

2019年4月15日

「政策立案に当事者が関わっているのか?」

丹野さんの問いに、上海市政府民政局と上海市社会福利協会の会長が一瞬固まった。

しばらくして、

「確かに重要なことだ。当事者として発言される、その勇敢さに敬意を表する。
現在は家族の声を聞きながら認知症政策を進めている。しかし、本来は本人の意見が必要だ。
そして、日本の政策立案のプロセスは健全だ」

とコメントされた。

上海では、認知症という言葉の定義には軽度の記銘力低下などは含まない。身の回りのことが一人でできなくなっていくのは加齢に伴う普通のプロセス、と考えるのだという。
行動心理症状が問題になるケースが、認知症としてのケアや社会的支援の対象となる。

大切なことは、認知症になっても、その人にとっての普通の生活が継続できること。そのためには、認知症に対する適切な理解が重要になる。

認知機能の低下を、誰にでも起こりうる普通の老化のプロセスとして理解している、ということ自体は悪くないと思った。ただ、本人は認知機能の低下に対し、不安とともに生活をしている。それは、行動心理症状の大きな要因となる。

一番困っているのは本人であり、その解決を支援するのが政策の目的。
政策立案に当事者の視点の重要性を訴えた丹野さんの言葉は、上海の為政者たちに確実に伝わったと感じた。


You Might Also Like