西智弘

緩和ケアに対する「医療者の誤解」

2019年6月17日

緩和ケアを受けに来る中で、
「抗がん治療は受け続けます」
という方が増えてきた。

それは「緩和ケアで苦痛は取ってほしい」「がんをコントロールしたい」という両方のニーズの表れ。私はそれは当然のことだと思う。

でも、一部医療者から「病状を受け入れていない」と批判される。なぜなのか。

確かに、抗がん治療が厳しくなってきていることは事実であるものの、「それでもどうにかしたい」という気持ちを持つことは自然なことだ。
それを「病状を受け入れていない」から間違っている、と医療者が批判し、現状を「受け入れさせる」ために絶望的な説明をする。

それは誰の、何のためになるのか。

10年前の抗がん剤なら、「抗がん剤するほうが寿命が縮むから」と説明し、納得いただくというのは成り立った。しかし、治療法が発達したいま、それが成り立たない例も増えている。ほとんど副作用なく、治療を継続することもできる。

早期からの緩和ケアの第一人者であるTemel先生をして

「最近の免疫チェックポイント阻害薬の発展のために、専門的緩和ケアが入るべきタイミングは難しくなっている」

と言わしめている。

そんな時代に、「厳しい病状を受け入れてからが緩和ケア」なんて言っている場合ではない。

「良いことに期待しながら、悪いことに備えましょう」という言葉は至言。

受け入れられる人にはそのように話すし、受け入れたくない人にはそのように話す。そして、どんな人も苦痛の海に落ちないようにセーフティネットを張っておく。

それは結局、どんな人にも緩和ケアが必要ということとイコールだ。


You Might Also Like

No Comments

Leave a Reply