流行はin vivoで起きている

カテゴリー 道海秀則0件のコメント

この時期の小児科はインフルエンザ流行の最前線と言えます。
そんな中でこういったニュースが話題になりました。

要はゾフルーザに対する耐性株が発見されたというニュース。
このニュースがテレビ、ワイドショーで大々的に放送され「ゾフルーザは効かない」と思われたらしく「テレビで見た、ゾフルーザは嫌だ」と言う人がでてきました。
直前までは「テレビで見た、ゾフルーザが欲しい」と言う人ばかりでした。

私はインフルエンザに関しては、治療薬をどれにするかは患者さんに選択してもらっています。
投与回数、投与経路、適応年齢、適切に飲めるか、適切に吸引できるか、インフォームドコンセントを取ります。
ゾフルーザは錠剤ですが小さく、錠剤が苦手な小児でもちゃんと理解できれば飲める場合が多かったです。口の中に残ってしまっても、口腔内での崩壊も速く、苦みはありますが、1回投与で済むので今日だけ我慢すれば治療が完了します。こと小児科領域においては助かったドクターも多いのではないでしょうか。
ゾフルーザは他薬と比べ解熱が早いとされ、ワイドショーで派手に宣伝、話題になっていたこともあり選択する患者さんが多かったのですが、一転、今回のニュースで忌避する患者さんが増える可能性があります。
しかし現在、ゾフルーザは卸業者も在庫が切れ、今期はあまり出ないかもしれません。
情報があろうとなかろうと、ゾフルーザを処方できない状況になりました。

私自身は、今回のニュースの前から、否定も推奨もしていません。
それは「耐性と無効は違う」からに他なりません。
例えば培養結果でAMPCに耐性傾向が発覚しても、実際はアンピシリンで症状が改善しているからそのまま続けよう、というような経験があるのではないでしょうか。
耐性はin vitroで有効無効はin vivoでの判断です。
我々臨床家が相手をするのは当然in vivoの状態ですよね。
特にインフルエンザウイルスに関しては変異しやすく、免疫獲得や耐性傾向に関してもまだまだ解析できておらず、予測は不可能に近いと考えています。

実感としてどうか、という話ですが、他薬と大差はないという印象です。
他薬と同等にすぐによく効いてくれる印象、という意味です。
「ゾフルーザは処方しない」と言うドクターや病院がありますが、流行の現場にいる人間が「ゾフルーザを処方して、実感としてどうか」という情報を得られないのは不便なのではと思います。

耐性株が発見されたとのことですが、実数としては2例です。
比率が増えるかもしれませんが、増えないかもしれません。
耐性株の出現というのは、これは当然の理なんです。
耐性株が出現した!即刻利用を停止せよ!というのは、ワクチン否定といった極端な主張でゼロリスクを求めるのと同等と感じます。
時期が来れば情報が集まり、判断に足る状況ができあがるでしょう。
来期に向け、なんらかの知見が出ることを期待しています。


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山内病院付属藤沢スマートタウンクリニック 小児科部長
日本小児科学会 小児科専門医
「正しい医療情報のための連携会」Facebookグループ会長

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