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次々と明らかになる医療機関の「経営危機」 第2波に持ちこたえられるか 

2020年6月18日

新型コロナウイルスの感染を恐れた「診療控え」により、各地の医療機関への患者来院数が減少、医療機関の収益が減少していることが様々な団体の調査で明らかになってきた。第2波に備えるためにも、と各医療機関は国に対し財政支援を求めている。

全国調査ではすでに3分の2が赤字経営 さらに患者減が追い打ちへ

日本の主な病院で構成される「日本病院会」の調査によると、現時点で感染を恐れた患者の「診療控え」により全国的に医療機関の収益が減っており、すでに3分の2が『赤字経営』に陥っているという。

今月に入って、地域の医療機関の団体がアンケートなどで実態を調べたところ、深刻な状況がさらに明らかになっている。例えば山梨の保険医協会がアンケートをとったところ、90%以上の医療機関が収入が減り、そのうちの1/4は30%も収益が減ったと答えたという。東京、埼玉、岐阜、福岡などでも同様に90%以上の医療機関で収入減が報告され、岐阜での調査では、小児科はなんと70%以上も収入が減っていると報告されている。

単に収入減だけではなく、コロナ対応で専用の病床を設置したり、そのために通常の診療スペースを減らすなどが原因で費用がかさんだり、収入がさらに減る事例も複数みられる。福岡のある病院では感染者を入院させるベッドを4床増やし、そのスペースにあったベッド12床を廃止したところ、1500万以上も収入が減った。さらにその対応のため医療機器を新たに購入したり人員を配置するなどさらに費用が積み上がっており、資金繰りが非常に厳しくなっているという。

こういった例はもちろん福岡に止まらず、埼玉などでも起こっている。埼玉県内のあるクリニックは、自治体の要請で感染者専用の診察スペースを設置したもののそのための費用が直接支援されず、さらに感染者対応をしたことで風評被害まがいの診療控えが起こって来院数が激減し、経営危機に陥っているという。

本格的な収益減少はこれから 国に支援求める

こういった事態は、各医療機関が診療報酬を計算する4月までの話で、5月以降の実態が数字で明らかになるのはこれから。しかし調査では4月よりもさらに来院数が減っているのは確実で、全国で相当数の医療機関が経営危機に直面するのは確実な情勢だ。そのため、日本病院会など医療機関の団体は声明を出し、診療報酬を増やすなど緊急に手当てしてほしいと切実に訴えている。

政府はこのほど成立した今年度の第2次補正予算で、医療機関への支援枠を2兆円あまり設定し、さらに使途を決めない予備費を10兆円確保。迅速な支援を約束しているが、具体的にどういった枠組みでいつ支援要請を受け付けるのかまだ明らかになっていない。いまだに数%しか支払われていない国民向けの給付金のように、実際の支給までに数カ月かかるなど遅れれば、医療機関の倒産が多数起きかねない状況だ。


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