Health2.0 ASIA -JAPAN 2018

カテゴリー 水八寿裕0件のコメント

個人的には2016年から毎年参加させていただいている「Health2.0」。医療者に平日にそんな朝から行っている時間あるか?と言われるとそんな気もしますが、ヘルスケアIT屋を自認する人間としては外せないイベントになっています。

実際参加してみると、ほとんど同業(薬剤師)がいなかったり、英語セッションもあったりで、かなりアウェイ感満載のイベントなのですが、ITの側面から見ると非常に面白い内容が盛り沢山です。医療分野でのイノベーションは日本国内ではネガティブに受け止められること多分にあるのですが、そういう環境を忘れさせてくれる2日間であると思います。
参加したセッションで特徴のあるものを取り上げてみました。

2018年12月5日16:30 ~ 17:20
地域包括ケア~地域の担い手とテクノロジーの可能性~
モデレーター
沼田 佳之 株式会社ミクス代表取締役 兼 ミクス編集長
パネリスト
馬場 拓也 社会福祉法人愛川舜寿会常務理事
杉浦 伸哉 スギホールディングス株式会社取締役 株式会社スギ薬局常務取締役営業本部本部長
川原 大樹 株式会社KURASERU代表取締役CEO
宮田 俊男 株式会社Medical Compass代表取締役社長 大阪大学産学共創本部特任教授
中尾 豊  株式会社カケハシ代表取締役CEO

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それぞれのコメント、要旨をまとめてみます。

▼パネリスト
馬場拓也氏(社会福祉法人愛川舜寿会 常務理事)
経営する特養施設で、実証実験などICT活用の試みを実践している。

(テーマにある「地域の担い手」について)
実際には介護保険制度を使って利用している人以外の方がターゲット。地域の中の方と向き合っていくことが重要。

(テクノロジー利用におけるギャップは?それを埋めるには?との問いに)
「ギャップだらけ」という感じではある。自施設の特養ではスタッフ全員、3年前からスマホを手にとって情報共有している(サイボウズ、介護記録システム「ケアコラボ」)。緩やかに意識を高めていくことが大事ではないか、と発言していたが、薬剤師・薬局の領域と同じようなイメージがありました。ITリテラシー教育から始めて10年後に備えていきたい。現場の知見を練りこんで共同開発していくことが重要

(地域包括ケアシステムを成功させるキーは、との問いに)
共生意識を導いていくためには、簡単でインタラクティブなLINEとかメッセンジャーのようなものが一歩超えていくのではないか?その環境作りが必要。

 

▼パネリスト
杉浦 伸哉氏(スギホールディングス株式会社取締役 株式会社スギ薬局常務取締役 営業本部 本部長)
ドラッグストアの使命としてもちろん「医薬品」は当然だが、それ以上の生活支援、モノをどうやって届けるか?もあわせて考えていくことが課題だとする。

(テクノロジー利用におけるギャップは?それを埋めるには?との問いに)
人の手を介してやっていたことを省力化できるようになっていたり、紙ベースの業務と電子化されたものの融合、
また単純作業を担うテクノロジー、薬歴でいえば「書く」ということを省くなど単純なことが重要だと考える。

(地域包括ケアシステムを成功させるキーは、との問いに)
クスリをどう届けていくのか。遠隔服薬指導が認められる流れだが、実際に薬を配送するのは薬剤師でなければならない。
健康で快適に過ごすためには 栄養状態を管理できるテクノロジーが重要ではないか。

▼パネリスト
川原 大樹氏(株式会社KURASERU代表取締役CEO)
MSW(医療ソーシャルワーカー)で、ケアマネのための介護施設とのマッチングサイト「KURASERU」を今年ローンチ。

(テクノロジー利用におけるギャップは?それを埋めるには?との問いに)
新しいタスクを必要としない、BPOサービスであること。ICTサービス+人であることを前提に考えれば、現場から感謝されるテクノロジーになる。KURASERUに関して言えば、送れる介護施設が存在しないことも判断できるというのも重要なポイントと考える。それによって初めて(ご本人のために)家族も含めたまわりが何をしなければならないか、明確になる。

(地域包括ケアシステムを成功させるキーは、との問いに)
情報共有。さきほど言及した「送る施設がない」ことが分かる、というのも、成功するキーポイントではないか。つまり、社会的な痛みを明確に出来ることが重要。

▼パネリスト
宮田 俊男氏(株式会社Medical Compass代表取締役社長 大阪大学産学共創本部 特任教授)
工学と医学双方の知見を持ち、医系技官としても政策立案から関わった経験を持つ。

(宮田氏の会社がかかわるセルフメディケーションを促進させるアプリ「健コンパス」について)
欧州では薬局、ドラッグストアなどのアクセスの方がボリュームが大きい。自治体、自治体保険者はICTを上手に使って高齢化する地域の健康をコントロールしたいという思いがあるが、薬剤師は医療用の薬は得意だがOTCについてはやや弱い場合が多い(調剤専門や病院の薬剤師)。セルフメディケーションはAIや情報のアシストのテクノロジーが命綱だと考える。

ーー 私自身これをお聞きして、自分がチャレンジできる分野かも、という印象を持てました。

(地域包括ケアシステムを成功させるキーは、との問いに)
医療と介護、情報共有のスピード感はやはり遅いという印象がある。AI責任論などあるが、積極的な利活用は重要。電子処方箋などもっとテクノロジーを活用して、情報の横展開をやっていく。また同時に地域住民のヘルスリテラシーを上げていくことも必要な状況である。

▼パネリスト
中尾 豊氏(株式会社カケハシ 代表取締役CEO)
個別の患者さんに対応した、服薬指導のための資料をAIで自動に選び、指導後ほぼ自動で薬歴に内容が書き込める「MUSUBI」を展開。
導入済み薬局では、おおむね1日30分業務量の減少ができ(離職率が下がって)、薬剤師採用コストの減少に結びつき感謝されているという。

(地域包括ケアシステムを成功させるキーは、との問いに)
ITツールのスケールには、それによって業務効率化できることが大前提。
また、ITだけでは成功しない。無意識のうちに健康意識を高めるようなサイクルを作ることが重要で、そのためには医師や薬剤師との会話が重要な体験になるのではないか。

 

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全体の感想ですが、ユーザー(医療・介護スタッフ?患者?家族?)などの経験や体験が今後のテクノロジーの進化を決定づけるということは確信できました。サービスの担い手が自分たち出来ることを積み重ねて、途中で諦めないことがポイントのようです。
現状の業務に過度の負荷を掛けることなく、自然な形で業務転換が出来ているというようなデザインが求められているということでしょうね。


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ふくろうメディカル代表・株式会社実務薬学総合研究所 薬剤師
東京理科大学薬学部 臨床准教授
1968年福島県郡山市生まれ。1990年東京理科大学薬学部に入学、大学院修了(薬学研究科修士)。武田薬品工業でMRとして勤務。その後薬剤師(薬局・大学病院・診療所)人材会社を経て現職。
※ふくろうメディカル:個人事業で医療関連の著作・研修資料作成などを行なっています。

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