ジャカルタの「熱」

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  • 高齢者の90%は口腔内に問題を持っているが、適切なケアを受けている人は30%に満たないこと。
  • 放置された口腔内のトラブルが摂食機能や口腔内環境に悪影響を及ぼし、低栄養・サルコペニア・フレイルのオーバーラップに、さらに誤嚥性肺炎や転倒・骨折のリスクにつながっていくこと。
  • 歯科治療や口腔ケアに対し深刻なニーズを持っている人ほど通院が困難で、だからこそ訪問歯科診療が重要であること。
  • 特に生活機能の低下した高齢者に対しては、社会モデルに基づく医療=個別性の高いアウトカムの設定とそれに基づく治療計画・療養支援が必要になること。●そして遠くない将来、アジアのすべての国々で高齢化が急速に進み、疾病構造が変化していくこと。それに伴い医療のコンセプトも医療へのニーズも大きく変化していくであろうこと

Gadjar Mada大学の歯学部のサマーコースで講義をさせていただきました。

インドネシアの高齢化率はまだ日本の5分の1程度(5%台)ですが、それでも歯学部の学生たちは、僕の下手な英語の講義を食い入るように聞いてくれました。

講演を終えると、たくさんの質問が。
アジアの学生たちには、クリニックと同等の診療が在宅でも可能であること、そして訪問歯科診療が保険適応で、高齢者の多くがわずか10%の自己負担で治療を受けられていることに驚きの声が。
一方、日本からの留学生たちは、日本の大学で学んできた歯科治療だけで、自分たちの将来は本当に大丈夫なのだろうか、という明確な不安を口にしていました。若い日本人留学生たちのこの「健全」な課題意識に正直ほっとしました。

人口の高齢化は避けられない未来。時間差はあっても、いずれアジア全体が共有する未来です。
やるべきことにともに取り組んでいくしかありません。

ここは歯学部教育においてはトップクラスの大学とのこと。
学生は日本を含めマレーシアやタイなど、アジア中から集まっていて、インドネシア人の学生は半数以下。国際的な環境の中で、世界標準を英語で学ぶ。将来の医歯学は臨床も教育もこの子たちが主導権を握ることになるのかもしれません。
講義の合間に、廊下に座り込んで勉強している彼らの姿をみながら、なんとなく選民意識の抜けない自分たち日本人の姿を内省せざるを得ませんでした。


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医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長
1998年筑波大学卒業後、三井記念病院に勤務。2003年東京大学大学院医学系研究科博士課程入学。東京大学医学部附属病院消化器内科、医療法人社団 哲仁会 井口病院 副院長、金町中央透析センター長等を経て、2006年MRCビルクリニックを設立。2008年東京大学大学院医学系研究科博士課程を中退、医療法人社団 悠翔会 理事長に就任し、24時間対応の在宅総合診療を展開している。

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