麻疹とその他の上気道感染症の鑑別について

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小児診療をしていると、

 

  • 二峰性の発熱

  • カタル症状

  • 発疹

 

そういう症状が揃った状況にしょっちゅう出くわします。
症状を文言でピックアップすると「麻疹か?」ということになりますが、そうではありません。教科書に記載されている所見と患者さんの症状を照らし合わせ、麻疹のそれか否かを鑑別する必要があります。今回は私が日常診療で所見を取るときに気を付けている点をお話させていただきます。

【二峰性発熱】

  • 本当にウイルス単体の感染による体温変動であるか否か。
    細菌感染症を併発している可能性を検討します。 例えば一度上気道炎が治りかけて、後半の発熱は中耳炎だった、などの状況です。
  • 抗菌剤が効果的に使われているか否か。
    細菌感染症の場合、抗菌剤で症状が改善したが、再び悪化した状況を検討します。 抗菌剤はしっかり内服を継続しているでしょうか。 「熱が下がったから内服をやめてしまった」「子供が薬を飲んでくれない」、そういったpartial treatmentで発熱が二峰性になる場合があります。

 

【カタル症状】

  • 麻疹は目や鼻の「ぐしゅぐしゅ感」が強いのが特徴で「顔が汚れている」と表現するドクター もいます。
    「麻疹っぽい顔つきをしている」と感じることがあります。
  • 他のウイルス感染症との鑑別
    アデノウイルス感染症と麻疹の眼症状(シバシバ感、目やに)、鼻症状(ぐしゅぐしゅ感)はよく似ていて、高熱もありそれだけでは鑑別できません。 アデノウイルス感染症は比較的咽頭痛が強いことが多く、扁桃への白苔付着も比較的多いです。アデノウイルス迅速キットを使いましょう。
  • 細菌性の結膜炎や鼻汁は「濁った不透明」の「薄い緑黄色」であることが多いです。目やには「ぽろぽろしている」と表現する患者さんもいます。一方で麻疹の目やには「薄黄色透明」で「べたべたしている」ことが多いです。


【発疹】

  • 麻疹の発疹は「境界明瞭」で「濃い桃紅色」です。
    正常な皮膚と発疹の境目がはっきりしており、ここは正常、ここは異常と素人目にも区別ができます。正常な皮膚から発疹に徐々にうっすら赤くなる様子はありません。 あれ?これは麻疹の発疹かな?あせもかな?と曖昧な印象を「得ない」のが特徴です。
  • 麻疹の発疹は顔にも出ます。
  • 麻疹の発疹は「かゆみはあまりない」ので掻把痕がほとんどありません。


【コプリック斑】

・コプリック斑の白斑は境界明瞭です。
・左右両側に出ます。
・口内炎との鑑別は難しい事があります。「ミルクかすが貼りついている?」と誤認するようなハッキリした白斑ですが、直径1ミリも無いような白斑であることが多いです。ぽつぽつ複数出ることが多いです。周辺に出血斑を伴うこともあります。

【季節と流行性疾患について】

  • 花粉症
    イネ科の花粉症が発生しています(多い時期は5月~7月)。花粉症の眼症状は目やにが目立つことはあまりなく、眼のかゆみ、充血、流涙が目立ちます。目やにかと思ったら浮腫でゼリー状になった眼球結膜だということもあります。花粉症の鼻症状はかゆみ、鼻汁ですが、鼻汁もやはり透明で「サラサラした鼻水が垂れる」と表現する患者さんも多いです。草むらで遊んだかどうか、山や河原へハイキングへ行ったかどうか、などを問診しましょう。
  • 気温
    気温が高くなり、あせもが増えています。あせももいわば発疹です。あせもは発疹ですが、麻疹の発疹のようにハッキリと濃い桃紅色となることはありません。あせもはかゆいので掻把痕があります。正常皮膚との境界は不明瞭(うっすら濃くなっていく)なことも多いです。
  • アデノウイルス感染症、溶連菌感染症、RSウイルス感染症 高熱、カタル症状、溶連菌は発疹も呈する感染症です。それぞれ検査キット(RSは1歳未満が保険適応)がありますので活用しましょう。
  • 胃腸炎
    胃腸炎による嘔吐下痢、高熱、気だるさ。
  • 症状の組み合わせに注意
    例えば「あせもの発疹」と「アデノウイルス感染症」が組み合わさったらどうでしょう。頬粘膜を噛んでしまって「口内炎」ができて、さらに「RSウイルス感染症」だったらどうでしょう。そういった症状から麻疹を鑑別していく必要があります。

【必ず確認】

  • 麻疹(風疹)予防接種歴
  • 麻疹患者発生地域と患者の行動範囲。診療所の医療圏と地域内での麻疹の発生状況(保健所に聞きましょう)。
  • 潜伏期間は10~12日間です。そのころに麻疹発生地にいたかどうか確認しましょう。 ちなみに2018年5月28日時点で藤沢市内では麻疹は発生しておりません(疑い例は精査にて否定されました)。

困ったら保健所に相談しましょう!私も先日問い合わせました。丁寧に教えてくれます。


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山内病院付属藤沢スマートタウンクリニック 小児科部長
日本小児科学会 小児科専門医
「正しい医療情報のための連携会」Facebookグループ会長

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