成本迅

認知症でも安心して暮らし続けられる社会を、具体的に考える

2019年6月4日

私は認知症の専門医として日々、認知症の診断や治療に関わっています。認知症になって一番困るのは、判断力や理解力が低下して、社会生活に支障が出るということです。とても便利なサービスでも、それを見つけたり、契約したりする能力が低下していて、うまく利用できなくなりますし、利用するためのお金を管理することも難しくなります。

 

できるだけ軽い段階で診断を受け、徐々に人に任せるようにしていくとよいのですが、まず自分が認知症になったときには、それに気づけなくなっていることが多いということと、なかなか他人に任せる気持ちにはなれないこともあり、医療機関を受診するときにはすでに詐欺被害にあっていたり、生活がすっかり破たんしているということもよく経験します。

 

そこで考えたのが、健康なときから利用しているサービスや、商品を提供している企業の人たちに認知症のことを知ってもらい、認知症になったときには程度に応じた支援を提供してもらってはどうか、ということです。

 

高齢者は、年金が入ってくればそれを引き出しに金融機関に行き、スーパーで買い物し、マンションや一戸建てに住み、携帯電話を契約しています。もちろん、ガスや水道、電気も使います。一つの業界では難しくても、他の業界と連携することができれば、本人の認知機能が低下してもそのまま利用し続けられるような、統合されたサービスが開発できるのではないかと期待しています。

 

今回、7月6日に開催するシンポジウムでは、このような志を持つ企業の方たちに登壇していただき、それぞれの業界からみた高齢者の生活と認知症による変化とその対応について、医療や介護の視点と合わせてディスカッションします。高齢者が、認知機能が低下しても安心して暮らせる街づくりに興味のある企業の方、行政の方、医療介護関係者、そして一般の方々にご参加いただけたらと思っております。

 

また、午後には、隣の会場で私が理事を務める一般社団法人日本意思決定支援推進機構の研究大会も開催します。こちらは、学術的な観点から認知機能が低下した人の医療介護や契約における意思決定支援の方法について考えます。法人で開発した遺言能力チェックリストや認知症の人にやさしい金融ガイドの続編である、認知症の人にやさしいマンションガイドなども紹介する予定です。こちらも是非ご参加いただけたらと思います。

 


You Might Also Like

No Comments

Leave a Reply